- 2017-7-3
- HP制作と運用
「システム(アプリ)開発」と「ホームページ制作」、何かと同じ括りで考えられることが往々にしてあります。
システム部門出身の私も、実は似たようなものだ、と考えていました。
システム(アプリ)の目的
一概に「システム(アプリ)」と言っても、世の中には様々なシステムがあります。
- 日常業務の効率化を目的とした「業務アプリ」
- 言わずと知れた「ゲームソフト」
- 家電製品などに仕込まれる「マイコン制御ソフト」 など・・・
全て、プログラムによって実現されているわけですが、
それぞれ必要とされるスキルは異なり、根本的な考え方さえ異なるものです。
その昔、私がとても驚いた事例があります。
マイコン制御ソフトの開発者として従事していた人が、ある日、システム部門に異動となりました。
それから3年が経過したある日、その彼が「どうしても理解できないことがある」というのです。
それはデータの持つ「KEY:キー」という考え方。
- マイコン制御はあくまで「1対1」の制御。
- 業務アプリは複数データを扱う。
ここに大きな溝があるというんです。
ちょっとだけ補足説明。知りたくない人は読み飛ばしてください。
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業務アプリには、ありとあらゆるデータ蓄積し、適切な形に正規化(※)し、保存します。
※ 正規化とは、あるルールにも基づき、データを扱いやすい形に形成すること。
その蓄積データを、用途に応じて統合して利用する必要があるからです。
蓄積されたデータの用途は一つではない。
- 日々の実績確認のために照会され、
- 今後の需要予測の基礎データとして活用され、
- 収支分析に活用され
- 請求書にもなる ・・・など
それぞれの活用のための基本中の基本の考え方がKEYによる「マッチング処理」。
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「プログラム開発」という視点で「同じ技術」と信じ、自ら異動してきた阪大院卒のインテリの彼の人生はじめての挫折(かどうかは知りませんが)。
ゲームソフトの開発
ゲームソフトの開発には関わったことがないため詳しいことはわかりません。
しかし、一般的なプログラマーとしての技術を有している人にとって、ゲームソフトの開発は
- 技術的に窮することはなくとも
- 斬新なアイデア、圧倒的な発想力ははるか及ばず、
自身の無力さを突き付けられ、大きな挫折を味わうことになるのではないかと思います。
IT技術者の勘違い
ホームページも言わばITの産物。
加えて、一般的に「システム開発」に比べ、技術力に関する要求レベルは低い。
だからこそ、システム開発従事者は「ホームページ制作などちょろい」と考えてしまうものです。
何故、出来ると思うのでしょうか?
一言で言えば、「ホームページの目的」を理解していないから。
常識のある業務アプリの開発者は、一般的に人気ゲームソフトの開発が出来るとは考えません。
何故なら、自分自身の中に、そんな斬新な発想力がないことをちゃんと理解しているから。
一方で、ホームページなら作れる、と思ってしまう。
ホームページには斬新な発想力など必要ないから。確かにホームページに斬新な発想力など必要ありません。
ホームページの目的
でも、「業務システム」と「ホームページ」は、全く目的が異なります。
「業務システム」とはいわば、社内の業務効率化の為の仕組み構築。
一方で、ホームページは、広く巷に「御社の存在、魅力、商品、サービス」を宣伝するためのもの。
全く目的が異なります。だから、
- 根本が異なり、
- 必要とされる能力が異なり、
- 考え方も違うんです。
何よりも大事なことは、「伝える立場」ではなく、「受け取る立場」になって考えるということ。
「作り手の都合など、関係ない」のがホームページなんです。
システム部門が制作するホームページ
それでも、ITスキルさえあれば出来ると思ってしまうのが人間のエゴ。
「弊社にはシステム部門があって、そこでホームページを作っているから、間に合ってるんですよ」と。
さて、「出来ている」とはどういう意味なんでしょうか?
大事なのは「出来ている」の意味だと思うんです。
確かにホームページらしいものは出来ている。そういう意味では出来ている。
大事なのことは、そのホームページで伝えたいことが伝えられているのか?ということ。
- 専門的な知識を持たない人が見て、わかる内容になっているのか?
- 御社に拘る必要がない人が見て、興味が沸く内容になっているのか?
業務システム導入に伴う事前徹底
業務システムとは根本的に違います。何故なら、システムを使ってもらうために
- 事前に「システム説明会」を実施し、
- 懇切丁寧な操作マニュアルを作成し、
- 使い方が分からない事態に備え、サポートデスクまで用意する。
それほど複雑で、難しい操作性であっても、業務が効率化出来るのであれば、目的を満たしてしまう。
もっと言うなら、「作り手」と「使い手」がお互い譲歩(協力)しつつ、作り上げていくのが「業務システム」なんです。
ホームページを閲覧するのに、「難しい操作」や「覚えなければいけない操作」はありません。
でも、ホームページの構造が悪いと簡単に迷子になります。スマホならばなおさら。
- 業務システムのユーザーは、絶対に使わなければ仕事にならない人。
- ホームページを閲覧する人は、御社のホームページなど見なくていい人。努力して閲覧する必要はありません。
必ず使ってもらえる業務システムとは違うということ
私は元システム部門担当者だから断言できます。
使わないといけない人に提供していた人に、
- そのままの「価値観」で、
- 「脳の構造」のままで、
「必要としていない人に見てもらうホームページ」など作れるわけがない。
一度、ネット上で情報を探している時の自分の行動を思い出してみてください。
- 一体何に反応し、
- 一体何故、不要と感じ、ホームページ閲覧を止めるのか。
あまりに瞬時の反応で、無意識にやっていると自分の記憶に残らないものなんです。
それでもやっぱり、自分で作り続けますか?