マーケティングって難しい。この言葉にはいろんな意味があるように思います。
マーケティングの基礎知識
マーケティングと言うと、分析手法ばかりが取り沙汰されがちです。
SWOT分析:内部要因となる自社のS(強み)、W(弱み)、外部要因となるO(機会)、T(脅威)の4軸で、戦略を立案
4P理論 :価格(Price)、場所(Place)、販促(Promotion)、商品(Product)の4つの切り口で戦略を立案
3C分析 :自社(Company)、競合他社(Competitor)、顧客(Custmer)の3つの切り口で戦略立案
- いずれも、遠い昔から今に伝えられているものであり、
- 自分の立ち位置を正しく把握し、その上で戦略を立てるためのものなので、
知らなくていいわけはありません。
だけど、会社やお店を経営する上で、それ以上に気を付けなければいけないもっと「当たり前のこと」があります。
- 油断しないこと。
- 赤字の仕事を引き受けないこと。
- ちゃんと基本的な数字を把握しておくこと。
もちろん、これだけで「集客」は叶いません。
でも、集客すればするほど赤字、という最悪の事態は避けられます。
そんな「当たり前」とわかっていることが、出来てない人があまりに多い。
これは私の人生において、最大級の「驚きの事実」でした。
お店の販促支援活動
15年位前、私は、お店の販促活動のお手伝いをしていました。
お店がコツコツ登録し続けた顧客情報を、守秘義務契約を交わした上で預かり、販促活動に活かそうという試みです。
その当時、アメリカの大型スーパーであるウォルマートが発見した「おむつとビール(ついで買い)」の法則。
「おむつ売り場のすぐそばに、ビールを置いておくとよく売れる」
そのカラクリは、お父さんがおしめを買いに行ってこいと仰せつかり、そのついでにビールを買って帰るというもの。
一般常識的には、おしめとビールの組合せは思いつかない。だけど、実はこんな法則が隠れている、と
当時ブームになったデータマイニングという手法(大量データの中に埋もれた宝(売りの法則)を掘り起こすこと)。
この手法を用いて、お店の売りに貢献しようと試験的に始まった取組みでした。
困難を極める顧客情報活用の実態
このデータマイニング、とても地味で根気のいる地道な作業の連続です。
そもそも、顧客情報はお店所有のもの。お店にとって使い勝手のいい形で情報管理されています。
実に信頼性の乏しいデータです。
- お客さんの属性に関する情報は聞き出せた項目だけ。
- 商品売上情報も、品番が間違っていてもOK、追記されていてもOK
- 売上日付も先日付、過去日付の設定OKであり、到底あり得ない日付のデータが多数存在。
つまり、それは何を意味しているのか、と言えば
- 元データとして使えるデータの見極めが必要であり、
- 使えるデータを、更になんらかの規則に従って加工しなければいけない
など、データマイニング作業に入るまでに、多大な労力を要するということなんです。
散々苦労して、やっとの思いで作り上げた「見込み客リスト」。
見込み客リストに対するお店の反応
提供側の私達からすれば、見込み順位1位から順番に、とにかくアプローチすればいいじゃないか、と考えます。
でも、そんな訳にはいかないという。
- 1位の人はこの前話をして、つい最近車を買っちゃったから、当分、節約しなきゃと言っていた、とか
- 2位の人には、別の商品を薦めたいと思っているから、とか
- 3位の人は、こっちから提案すると、機嫌が悪くなるから、とか
よく知ってるからこそ、行動に移せない理由があると言うんです。
- その当時、私が考えていたことはやってみなくちゃわからないじゃないか、ということ。
- 一方で、お店保有の顧客情報である以上、私達が直接お客様に対してアプローチ出来ない という法律上のルールがある。
そんなことから、
- せっかく、個人的事情を全く考慮しない素のデータから「見込み客リスト」を作成・提供したのに
- 個人的事情が邪魔をして、フル活用出来ない
という不幸な結果を招きます。
効果的なマーケティングを実践するためには、
- 個人的な事情を フル活用 したマーケティング活動と
- 個人的な事情を 全く排除 したマーケティング活動を
うまく融合させて、活動するということが大事なんだという結論に至っています。
法律を犯さない前提で、
- お店が個人的な人脈を生かした活動にプラスして、
- 個人的事情を差しはさまないニュートラルで論理的なデータに基づいたマーケティング活動
が実現できればもっとお店の人に喜んでもらえた筈だ、と思うのです。何故なら、
- 事情を知っている以上、具体的行動を起こすことは難しい。
- でも、自分ではない誰かが行動を起こすのであれば話は別。
具体的には、
- お店の名前で直接DM発送することが出来たのであれば、
- お店の販促活動にもっと貢献出来ていたであろうに、
と今更思ったりしています。
マーケティングとは?
マーケティングと恰好よく言ってみても、所詮、人と人のコミュニケーションの上に成り立つもの。
だから、
- 自分の経験の中で培ってきた知恵にプラスして、
- マーケティングの分析手法を取り入れてみる。
ことが重要だと考えます。
冒頭にご紹介した分析手法は、ホームページ構築や見直しの際、とても役に立ちます。
ホームページを活用するということは、
今まで、自分の守備範囲にはなかった「新たな人との出会いを生む」可能性を秘めているということ。
ただ、その可能性を開花させるためには、魅力的で、わかりやすくなくてはいけない。
つまり、ホームページを作る、見直すには、「何を発信するのか?」を真剣に考える必要性に迫られると言うこと。
- 自分の中での「当たり前」を、わざわざ言葉にすることによって、大きな「魅力」だという新しい事実に気付いたり
- 改めて、競合他社の状況を知ることによって、自らの弱みを発見したり、
- 冷静に客観視することによって、新たなビジネスチャンスを見つけたり。
など、様々な発見があります。
更に、油断していた事実をも、突き付けられることになります。
昨今、ビジネス環境の移り変わりはとても速い。
自分の経験やノウハウなど、すぐに陳腐化してしまいます。
世の中に取り残されないためにも、「過信せず、自分を見つめなおす」そんな気持ちの余裕を持つことが、とても大事だと思う今日この頃です。